星屑
まっすぐ前を向くと、さがりかけた太陽と目があう
この季節のゆうがたがいちばん、しあわせになれる
背の低い建物たちは、みんなオレンジ色に照らされて、いつもより優しい存在に見えたりする
小学生のときも、中学生の時も、高校生の時も、この景色をみて、おなじような顔をしていたに違いない
あかるい世界がすきだし、部屋にはやっぱり太陽がほしい
春も、夏も、冬も、すばらしいものかもしれないけれど
暑さが嘘みたいに消えていってしまって、これから必ず寒くなるのだと、そう思わせる秋がすきだ
これからくる冬を、まぶしく光る太陽越しに思う
まるで、はるか遠くにいるような気がしていた
今年もひっそりと、金木犀が香っている
一瞬、人々はふりかえって微笑んで、またせわしなく走っていく
そうしたらすぐ、夜になって、朝がくる
星屑がちらばって、冬がくる